マフラー巻いて、コートに身を包み、浜へ足を運ぶ。
それぞれの住まうところに、「海への扉」があると思う。
辻堂に生まれ育った私にとって、海浜公園のトンネルは、海への扉だ。
カラオケの画面に登場すると妙に嬉しくなったりもする扉をくぐると、
海が銀色に輝いている。海の美しさを比較すれば、湘南の海は、お世辞にも
「奇麗な海」とは言い難い。そりゃ、沖縄の海の美しさには、ほど遠い。
ただ、この時期の湘南の銀色の海は、一年の中で、一番大好きだ。
浜は、ひっそりと沈まりかえり、南風に吹かれ燃え上がる波と違い、
北風にさらされた波は、静かに、浜を叩く。
雲の切れ間から、光が射し、海面が、金色に輝き、光の筋は、
光が織りなすカーテンのようだ。自然が創り出すデザインに勝るものは、なかろう。
そろそろ、空の色が夜支度をはじめてきた。今日も、夕日と、空と富士山と、
そして、この海が、ココロに何か、そっと語りかけてくれるに違いない。 |